ある施設で肩が脱臼しているようなので、診てほしいとのお電話がありました。夜8時。診療を終えてお伺いすると、確かに左肩がおかしいです。右と比べても、あきらかに肩関節の隙間があり、専門的に言うと、肩峰と上腕骨の隙間が大きく、上腕骨頭が前へ移動している様に見えます。

「肩関節烏口下脱臼」と思われます。

私も整形外科勤務時代から、肩の脱臼はたくさん整復して来ました。しかし、91歳。要介護5の男性。拘縮もあり、無理はできません。軽めに整復を試みましたが、残念なことに整復されなかったので、バストバンドと三角巾で応急処置をして、翌日、整形外科の受診をお勧め致しました。

次の日、ケアマネージャーさんからお電話を頂き、 「整形外科を受診した所、肩の脱臼はないと言われました。」 ?????驚きました。

本当にちゃんと診たの?

皆さんは、レントゲンを撮ると安心されていませんか?しかし、レントゲンの撮り方、患者さんの姿勢や角度。読撮力によってその判定はさまざまです。要介護5の方ですので、レントゲンの姿勢を撮るのが難しかったと思います。

また、もしかしたら、混雑していて、しっかり診てもらえなかったかも知れません。あるいは、肩関節脱臼だとわかっていても、年齢を考慮してあまり触りたくなかったのかも知れません。

弛緩性麻痺や筋力の低下で肩関節に隙間ができることはありますが、この方は違うと思います。なにより、左肩を動かすと痛がります。

要介護5で意思表示はできませんが、一番かわいそうなのは患者さんです。ターミナルの方ですので、何もしないのもひとつの選択肢だとは思いますが、我々のできることはないのでしょうか?

私は、今でも肩関節脱臼だと思っています。なんか悲しい気持ちになり、書き込んでしまいました。

投稿者プロフィール

Gakuji Kojima
Gakuji Kojimaこじま富雄団地接骨院院長
業界に20年以上携わり、日々の施術の傍ら学会講師としても活動中。経絡治療学会阪神部会副部会長・講師